死因贈与契約について、受贈者が先に死亡したが、対象土地は受贈者の相続人が取得するとされた事例【水戸地判平成27年2月17日判決】

弁護士

本橋 美智子

  • 1 はじめに

    死因贈与とは、贈与者の死亡によって効力が生ずる贈与です。

    贈与者の死亡によって効力が生ずる点では、遺贈(遺言による贈与)と同じです。

    しかし、死因贈与は、贈与者と受贈者との契約ですが、遺贈は遺言者の単独行為ですので、この点は違います。

    民法554条は、「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。」と定めています。

    そして、民法994条1項は、「遺贈は、遺言者の死亡以前に受贈者が死亡したときは、その効力を生じない。」と定めています。

    そこで、死因贈与契約について、贈与者の死亡以前に受贈者が死亡したときに、民法994条1項を準用してその効力は生じないのか、それとも民法994条1項は準用しないでその効力は生ずるのかが問題となります。

  • 2 本判例の事案

    贈与者の母が、夫死亡直後に、本件土地は長男に、現金と畑を二男に、他の不動産を三男にゆずりますと書いた書面を作成し、母と3人の子が押印していた事案で、母より長男が先に死亡したため、本件土地の死因贈与契約の効力などが問題となりました。

    判決は、死因贈与契約を有効として、本件土地を長男の相続人が取得すると判示しました。

  • 3 他の判例

    死因贈与契約に民法994条1項を準用するかどうかについては、肯定説(死因贈与契約は無効)、否定説(死因贈与契約は有効)が対立しています。

    肯定説には、東京高裁平成15年5月28日判決があります。

    否定説には、本判決のほか、京都地裁平成20年2月7日判決があります。

  • 4 まとめ

    このように死因贈与契約について、受贈者が贈与者より先に死亡した場合に、その効力があるかどうかについて、判例の見解は未だ固まっていないといえると思います。

    ですから、死因贈与契約を締結する場合には、贈与者より受贈者が先に死亡した場合にも、贈与の効力があるのか否かを記載しておくか、受贈者が先に死亡した場合には、再度契約を締結することが望ましいでしょう。