相続人の一部が相続財産を隠している場合どうしたらよいでしょうか

1 隠している相続財産を明らかにする方法

被相続人と同居していれば、なんとなく相続財産が分かったり、被相続人の部屋を探索することで、相続財産を把握することができるでしょう。
しかしながら、相続人が、被相続人と離れて暮らしている場合には、被相続人の相続財産が全く分からないというときもあります。
特に、同居している相続人が協力的ではない場合には、離れて暮らしている相続人としては、相続財産が分からないこともあるでしょう。

このような場合、まずは同居していたり、被相続人の相続財産を把握している相続人に対し、どのような相続財産があるのか確認することになります。
しかしながら、同居している相続人が相続財産を隠す場合もあります。
こんなとき、隠している相続財産を明らかにすることができるでしょうか。

2 遺産分割の調停や審判

相続財産を把握する相続人が遺産分割調停に出席する場合、調停委員から、相続財産の開示を求められることが通常です。
したがって、遺産分割調停において、相続財産が明らかになることもあります。

しかしながら、相続財産を把握する相続人が相続財産を明らかにしてくれない場合、裁判所が相続財産を調査してくれるわけではありません。

3 相続税申告

相続財産が一定程度ある場合には、相続開始から10か月以内に相続税申告をする必要があります。
各相続人が個別に相続税申告をすることもできますが、通常は、相続人全員で申告をします。

この場合、同居している相続人が作成した相続税申告書を確認することによって、相続財産を知ることができます。

また、被相続人が生前に確定申告書を提出していたなどの場合には、相続開始から4か月以内に準確定申告をする必要があります。
これを確認することによっても、被相続人が不動産収入を得ていたとか、配当収入を得ていたなどがわかりますので、相続財産を知る助けとなります。

4 預貯金

預貯金については、銀行名と支店名が分かっていれば、相続人は、銀行に照会して、残高証明書や取引明細等を取得することができます。
被相続人の預金口座が全く分からない場合でも、住んでいる場所近くの金融機関に問い合わせるということもあります。
 
実際には、預貯金通帳の取引明細を確認して、被相続人の口座の入出金を確認することによって、相続財産を調査することも多いです。
たとえば、振込の記録から、他の金融機関に預金があることが分かったり、不動産収入があることが分かり、不動産を有していたことが分かるなどということもあります。


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