著作権は相続できますか。著作権の相続税評価はどうなりますか。

1 著作権は相続の対象となりますか

 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものを著作物(著作権法2条1号)、著作物を創作する者を著作者(同条2号)といいます。そして著作者が著作物に関して有する財産的な権利が著作(財産)権であり、その内容としては、複製権、上映権、公衆送信権、頒布権、翻訳・翻案権その他の権利が含まれます(著作権法21条~28条)。これら著作(財産)権は、財産的な権利であって、当然に相続の対象となると考えられています。
 なお、著作者は、公表権、氏名表示権、同一性保持権の著作者人格権(著作権法18条~20条)も有するとされています。この著作者人格権は、著作者の一身に専属する(著作権法59条)とされていますので、基本的に相続することはできないと考えられています。
 上記のとおり著作(財産)権は、相続の対象となるものであって、とりわけ著名な小説、脚本、楽曲の作詞、作曲その他については、財産的な価値も高く、重要な相続財産となる場合があり得ます。

2 著作権の相続税評価
 著作権の相続税評価については、国税庁の通達の定めがあります。
 『【財産評価基本通達148】(著作権の評価)
 著作権の価額は、著作者の別に一括して次の算式によって計算した金額によって 評価する。
 ただし、個々の著作物に係る著作権について評価する場合には、その著作権ごとに次の算式によって計算した金額によって評価する。(昭47直資3-16・平11課評2-12外改正)
 年平均印税収入の額×0.5×評価倍率
 上の算式中の「年平均印税収入の額」等は、次による。

 

(1) 年平均印税収入の額

 課税時期の属する年の前年以前3年間の印税収入の額の年平均額とする。ただし、個々の著作物に係る著作権について評価する場合には、その著作物に係る課税時期の属する年の前年以前3年間の印税収入の額の年平均額とする。
 

(2) 評価倍率

 課税時期後における各年の印税収入の額が「年平均印税収入の額」であるものとして、著作物に関し精通している者の意見等を基として推算したその印税収入期間に応ずる基準年利率による複利年金現価率とする。』
 したがって、著作権の相続税評価は、「年平均印税収入の額×0.5×評価倍率」が基本となります。「年平均印税収入の額」は、直近3年分の印税収入の年平均額です。
 「評価倍率」は、著作権存続期間(著作者が個人の場合には原則として死後70年)の収入の推算額に複利年金現価率を乗じたものとされます。将来の収入の推算については、著作物に関して精通している者の意見等を考慮しますので、出版、音楽等の業界団体に(著作物利用の期間、利用量の推移等の)意見を徴するべきです。また「複利年金現価率」は、将来の収入を現時点で評価するため一定の計数で減額するためのものです。
 いずれにしても税理士等の専門家に相談してみることが肝要といえます。


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