遺産分割事件で裁判所に提出した書類は誰が見ることができるでしょうか

1 遺産分割調停の場合

遺産分割調停で裁判所のみに提出した書類については、第三者のみならず、相手方についても、家庭裁判所が相当と認めるときに限って閲覧若しくは謄写が許可されます(家事事件手続法254条)。
したがって、第三者のみならず、相手方でさえ、提出した書類を原則として見ることはできません。

2 遺産分割審判の場合

 

(1)相手方によるの請求

遺産分割審判の段階では、相手方からの記録の閲覧若しくは謄写の請求については、これを許可しなければならないとされています(家事事件手続法47条1項・3項)。

例外として、
①事件の関係人である未成年者の利益を害するおそれがある場合
②当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれがある場合
③当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められる場合
④事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てを許可することを不適当とする特別の事情があると認められる場合
はこれを許可しないことができるとされています(家事事件手続法47条4項)。

そして、当該不許可の決定に対しては、即時抗告による不服申し立てをすることができます(家事事件手続法47条8項)。

(2)第三者による請求

利害関係を疎明した第三者から記録の閲覧若しくは謄写の請求がなされたときは、家庭裁判所が相当と認める時に限って許可され(家事事件手続法47条8項)、これに対する不服申し立ての手段はありません。

3 実務上の留意点

以上のとおり、遺産分割調停手続では裁判所に対して提出した書面は、原則として非開示ですが、遺産分割審判では相手方に原則として開示されるため、調停不成立により遺産分割審判に移行した場合には、遺産分割調停において提出した書類も相手方に開示される可能性があります。
このように、遺産分割調停において提出した書面が将来的に相手方に開示される可能性は十分有り得るところです。

したがって、裁判実務上、遺産分割調停においても、裁判所に書面を提出する場合には、相手方に交付することを求められることも多いです。

4 開示を希望しない場合

当事者が開示を希望しない場合には、マスキングをするか、あらかじめ「非開示の希望に関する申出書」を提出しておく必要があります。
ただし、この申出書を提出したとしても、審判において必ず非開示になるわけではなく、あくまで、裁判所が上記家事事件手続法47条4項に定める非開示の事由に該当すると判断した場合にのみ非開示になることに注意が必要です。


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