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弁護士
本橋 美智子
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被相続人は、平成30年7月に死亡し、その相続人は、いずれも子である原告、被告1、被告2である。
被相続人の葬儀の喪主は、原告が務めた。
被告1は、被相続人と同居していたところ、被相続人の死亡後に、被相続人の自宅の近隣住民らが、被相続人の自宅を訪れ、被告1に香典を渡した。
そこで、原告は、香典は葬儀の喪主に対する贈与と考えられるから、被告1が受領した香典も被相続人の葬儀の喪主を務めた原告に帰属すると主張して、被告1に対し、この香典相当額の返還等を求める訴訟を提起した。
裁判所は、以下のように述べて、原告の請求を棄却した。
原告は被相続人の葬儀の喪主を務めたものの、同事実から直ちに被告1が自宅において近隣住民から受領した香典が原告に対して贈与されたものと認めることはできない。そして、当該香典は葬儀において交付されたものではなく、近隣住民が被告1の自宅に持参して交付したものであること、原告が被相続人の葬儀費用を被相続人の相続財産から支出したことがうかがわれること(別件訴訟においてはこの点について当事者間に争いがない。)に照らすと、本件全証拠によっても、被告1が自宅において受領した香典が原告に対して贈与されたものであることを認めるに足りない。
香典は、一般的には、喪主に対する贈与と考えられています。
しかし、本事案のように、香典が葬儀において交付されたものではなく、近隣住民が葬儀後に被相続人の自宅に持参して、被相続人と同居していた他の相続人に交付した場合、葬儀費用を被相続人の相続財産から支出した場合には、香典は喪主に対する贈与とはならないことを判示した判例として、参考になります。