公正証書遺言のデジタル化とはなんでしょうか

1 公正証書とは
  公正証書とは、法律行為その他の私権に関する事実について公証人が作成する証書のことをい 
 います。遺言のほかにも、金銭消費貸借契約書、売買契約書、賃貸借契約書なども公正証書で作
 成されることがあります。
  公正証書の特徴として、公文書として高い証明力がある、原本を公正・中立な第三者機関が保
 管する、債務名義となり執行力が付与される(金銭支払等を目的とし、債務者が直ちに強制執行
 に服する旨の陳述がされた場合)などがあり、私的紛争の防止や、私的な法律関係の明確化・安
 定化に資するとされています。
2 公正証書のデジタル化に関する法改正
  公正証書は、対面・書面での手続が必須とされ、ウェブや電子データなどのデジタル化は未対
 応でした。もっとも、社会全体のデジタル化の推進の要請から、法務省は、令和4年6月7日に
 閣議決定された規制改革実施計画において、公正証書の作成に係る一連の手続についてデジタル
 化を目指すとしました。そして、公正証書の作成、保存及び公証に係る一連の手続のデジタル化
 を図るための立案作業が進められ、令和5年の通常国会に法案が提出され、同年6月6日、関係
 法が成立し、同月14日に公布されました。
3 公正証書のデジタル化の概要
  公正証書に係る一連の手続のデジタル化を図るためとして、公証役場に出頭をせずにウェブ会
 議・電子署名を利用して公正証書を作成することや、公正証書に関する証明書(正本・謄抄本)
 を電子データで受領することが可能となりました。
  その概要は、以下のとおりです。
 (1) 嘱託(申請)
   従来は、公正証書の作成の嘱託(申請)は、公証役場に出頭して行う必要があり、また、印
  鑑証明書等の書面の提出が必要とされていました。
   デジタル化により、公正証書の作成の嘱託(申請)を、インターネットを利用して、電子署
  名を付して行うことが可能になりました。
 (2) 嘱託人の陳述、内容確認等
   従来は、公正証書の作成には、公証人の面前での対面手続(嘱託人の陳述聴取、真意確認、
  内容の正確性の確認等)が必要とされていました。
   デジタル化により、嘱託人が希望し、かつ、公証人が相当と認めるときは、ウェブ会議を利
  用して行うことを選択できるようになりました。
 (3) 公正証書(原本)の作成・保存
   従来は、公正証書原本を書面で作成・保存するとされていました。また、嘱託人・公証人の
  署名・押印が必要とされていました。
   デジタル化により、公正証書の原本は、原則として、電子データでの作成・保存することと
  されました。また、電子署名も利用できるとされました。
 (4) 証明書(正本・謄抄本)の交付
   従来は、公正証書に関する証明書(正本・謄抄本)は、書面で交付していました。
   デジタル化により、嘱託人の選択により、電子データでの受領が選択可能になりました。な
  お、従来の書面による証明書の交付も維持されています。
4 施行日
  公正証書に係る一連の手続のデジタル化に関する改正法の施行日は、公布日から2年6月以内
 とされており、令和7年12月までには施行・実施される見通しです。


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