相続税の連帯納付義務

 相続税は、被相続人の課税遺産総額に基づき、相続人全体で支払う相続税の総額が、まず、決められます。そのうえで、実際に相続人が受け取った財産額に応じて、相続税額を振り分けて、受け取った相続人各自が納付するのが原則です(一人の相続人が遺産の全部受け取れば、その相続人一人で相続税全額を納付します)。
 しかし、相続人の中で、自分が本来負担するべき相続税額を支払わなかった者がいる場合には、他の相続人が代りに納めなければなりません。この義務のことを、相続税の連帯納付義務といいます(相続税法34条)。相続人の中に、資力が乏しくて、相続税を納付しないおそれのある相続人がいる場合には、その者には相続税納税額相当分を差引いた税引き後の財産を渡して、その相続税相当分を預った他の相続人が、その者の代りに相続税を納付するという方法をとることも実際上行なわれています。