委託者にはどのような権利がありますか

1 委託者とは

委託者とは、信託契約や遺言などの方法で、信託をする者をいいます(信託法2条4項)。
委託者は、信託設定の当事者ですので、信託設定時には中心的な立場と言えます。
しかし、一度信託が設定されると、受託者や受益者が中心的な立場になり、委託者は二次的な立場になります。
そのため、信託法でも、受託者や受益者よりも後に規定されています。

2 委託者の権利

委託者の権利としては、
①信託の変更、併合及び分割に関する事項
②信託の終了に関する事項
③受託者等への選任・解任に関する事項
④信託事務の情報収集に関する事項
などがあります。
受託者への監督権については、上記③④のように、最低限のものに限られており、受託者への監督は、受益者等が中心になって行うことが想定されています。
上記①から④の権利は、信託行為に定めることによって、委託者が権利を有しないことにすることも可能です(信託法145条1項)。

一方で、上記以外の一定の権利を、信託行為によって委託者が有することと定めることも可能です(信託法145条2項)。
これらを定めることで、受益者が有するような、受託者への細かな監督権を、委託者が有することも可能となります。

遺言信託や遺言代用信託の場合には、委託者が監督権を行使する必要があることが多いとは言えませんが、任意後見支援型信託などの場合には、委託者の監督権が問題になることもありえます。

3 遺言代用信託の特例

遺言代用信託においては、委託者は受益者を変更する権利を有することとされています(信託法90条1項)。
通常の信託の場合には、委託者は一度信託を設定すると、受益者を変更する権利を有しませんが、遺言代用信託の場合には、特例が定められています。
ただし、信託行為において、委託者が受益者変更権を有しないこととすることも可能です(信託法90条1項)。
これを利用して、撤回ができない遺言代用信託を作成することも考えられます。

4 委託者の地位の相続

遺言信託では、委託者の相続人は、委託者の地位を相続により承継しません(信託法147条)。
したがって、委託者の死後は、委託者としての権利を行使する者はいなくなります。
ただし、別段の定めをおいて、相続させることも可能です(信託法147条但書)。

一方、通常の信託契約の場合には、同種の規定がないため、相続人が委託者の地位を相続すると考えられています。もちろん、信託契約に別段の規定を設けることで、相続しないこととすることも可能です。


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