信託財産にはどのような特徴があるのでしょうか

1 信託財産とは

信託財産とは、受託者に属する財産であって、信託により管理又は処分をすべき一切の財産をいいます(2条3項)。
信託の対象となる財産であり、遺言信託や遺言代用信託では、不動産、株式、預貯金その他金融資産などがこれに含まれることが多いといえます。

2 信託財産の独立性

信託財産は、受託者に帰属しますが、受託者の固有財産とは別扱いされ、これを信託財産の独立性といいます。
信託法では、信託財産の独立性に関して、いくつもの規律を設けています。

① 強制執行等の制限(信託法23条)

受託者の債権者は、原則として、信託財産に属する財産に対しては、強制執行、仮差押え、仮処分若しくは担保権の実行若しくは競売又は国税滞納処分をすることができません。
ただし、信託財産責任負担債務に係る債権は別であり、信託財産責任負担債務については後述します。
また、自己信託の場合、委託者が詐害の意思を有していたときには、別途詐害信託の取消を行うことなく、強制執行等を行うことができます。

② 受託者の破産手続(信託法25条)

受託者が破産手続開始の決定を受けた場合であっても、信託財産に属する財産は、破産財団に属しないこととされています。

③ 相殺の制限(信託法22条)

受託者の固有財産や他の信託財産を引き当てとしていた債権者は、原則として、当該債権をもって信託財産に属する債権に係る債務と相殺をすることができません。

④ 対抗要件(信託法14条)

上記のとおり、信託財産は差し押さえの対象とならず、破産財団にも組み込まれないことから、信託財産のうち、登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない財産については、信託の登記又は登録をしなければ、当該財産が信託財産に属することを第三者に対抗することができないとされています。

3 信託財産責任負担債務

信託財産責任負担債務とは、受託者が信託財産に属する財産をもって履行する責任を負う債務をいいます(信託法2条9項)。

信託財産責任負担債務となるのは、次の権利に係る債務です(信託法21条1項)。
①受益債権
②信託財産に属する財産について信託前の原因によって生じた権利
③信託前に生じた委託者に対する債権であって、当該債権に係る債務を信託財産責任負担債務とする旨の信託行為の定めがあるもの
④信託の変更等がなされる場合の受益権取得請求権
⑤信託財産のためにした行為であって受託者の権限に属するものによって生じた権利
⑥信託財産のためにした行為であって受託者の権限に属しない行為によって生じた権利
⑦利益相反行為の制限にかかわる行為等によって生じた権利
⑧受託者が信託事務を処理するについてした不法行為によって生じた権利
⑨信託事務の処理について生じた権利

信託財産責任負担債務のうち次の権利に係る債務は、信託財産に属する財産のみが引き当てとなります(信託法21条2項)。
①受益債権
②信託行為に限定責任信託の定めがあり、かつ、登記がされた場合における信託債権
③法律上信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負うものとされる場合における信託債権
④信託債権者との間で信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負う旨の合意がある場合における信託債権


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