どのような場合に信託が終了するのでしょうか

1 信託の終了

信託が終了するのは、以下の3つの場合に大別されます。
① 信託の終了事由の発生(信託法163条)
② 委託者及び受益者の合意等(信託法164条)
③ 特別の事情による信託の終了を命ずる裁判(信託法165条、166条)

2 ①信託の終了事由の発生(信託法163条)

信託の終了事由は以下の通りです。
ア 信託の目的を達成したとき、又は信託の目的を達成することができなくなったとき。
イ 受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が1年間継続したとき。
ウ 受託者が欠けた場合であって、新受託者が就任しない状態が1年間継続したとき。
エ 受託者が費用等の償還又は費用の前払を受けることができず、信託を終了させたとき。
オ 信託の併合がされたとき。
カ 信託の終了を命ずる裁判があったとき。
キ 信託財産についての破産手続開始の決定があったとき。
ク 委託者が破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定を受けた場合において、信託契約の解除がされたとき。
ケ 信託行為において定めた事由が生じたとき。

以上のうち、実際に適用が多いと思われるのは、アまたはケの場合です。
アとしては、受益者に給付を行う必要がなくなった場合(例えば大学までの学費支給を目的とする信託において、受益者が大学を卒業した場合など)、受益者に信託財産全てを給付した場合、信託財産が消滅した場合などがあげられます。

ケとしては、信託行為に定められた信託の存続期間の満了があげられます。
遺言信託では、受益者の死亡までなどと定めることが多いといえます。
なお、後継ぎ遺贈受益者連続信託では、信託がされた時から30年を経過した時以後に現に存する受益者が当該定めにより受益権を取得した場合は、当該受益者が死亡するまで又は当該受益権が消滅するまでの間が存続期間とされています(信託法91条)。

3 ②委託者及び受益者の合意等(信託法164条)

委託者及び受益者の合意により、信託を終了することができます。
ただし、遺言信託や遺言代用信託において、委託者が現に存しない場合には、この方法で信託を終了することはできません。

4 ③信託の終了を命ずる裁判(信託法165条、166条)

特別の事情により、信託を終了することが受益者の利益に適合するに至ったことが明らかであるときなどの場合には、委託者、受託者又は受益者は、裁判所に信託の終了を申し立てることができます。
また、公益を確保するため信託の存立を許すことができない場合には、利害関係人は、裁判所に信託の終了を申し立てることができます。


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