誰が遺言執行者になれるでしょうか

1 遺言執行者になれる人

遺言執行者は、未成年者や破産者はなることができませんが、それ以外であれば誰でもなることができます(民法1009条)。
法人も遺言執行者になることができます。信託銀行などが遺言執行者になる例は多いといえます。
また、受遺者相続人が遺言執行者になることもできます。

共同相続人の1人が遺言執行者になった場合、その相続人のみが遺言執行者としての相続財産の管理処分権限を有し、他の相続人は遺言執行を妨げる行為を行うことができなくなります(民法1012条)。

実際には、遺言書作成を弁護士に依頼した場合には弁護士を、信託銀行に依頼した場合には信託銀行を、自身が作成する場合などには受遺者を依頼することが多いといえるでしょう。

受遺者や一部の相続人が遺言執行者になることは、
遺言執行者が相続人の代理人と考えられていることと(民法1015条)、緊張関係が生じる場合もあり、
利益相反が生じるおそれもなくはないのですが、現在の実務上、あまりこの点は厳密に考えられておらず、
多くの例で、受遺者や受遺相続人が遺言執行者になっています。
これは、単に受遺者や受遺相続人とするより、遺言執行者としたほうが、様々な手続きの面で、遺言の実現が容易になるためであるからと考えられます。
このことの端的な例が、不動産を遺贈した場合、本来であれば移転登記は、遺言執行者と受遺者の共同申請で行う必要があるところ、受遺者を遺言執行者としておけば、実際上、受遺者単独で登記申請できるということがあげられます。

2 遺言執行者の複数選任

遺言執行者を複数選任することもできます(民法1017条)。
この場合、遺言に別段の意思表示がない限り、過半数で任務の執行を決することになりますが、保存行為は各遺言執行者が単独で行うことができます(民法1017条)。
そして、過半数によらないで行われた遺言執行は無効になりますが、後に追認することは可能と考えられています。
執行の決定につき可否同数になった場合には、一方の遺言執行者の辞任や解任を検討するか、家庭裁判所に対し、遺言執行者の追加選任を求めることが考えられます。

また、遺言では、予備的な遺言執行者を定める例もあります。
被相続人の死亡時に、第1順位の遺言執行者が職務を行うことができない場合には、第2順位の遺言執行者が職務を行う、などという形で定める場合です。

3 遺言執行者の復任権

遺言執行者は、遺言に記載がない限り、やむを得ない事由がなければ、第三者にその任務を行わせることができません(民法1016条1項)。
ただし、実際には、遺言執行者に相続人が選定された場合で、遺言執行が複雑な場合などに、弁護士などに遺言執行の事務を委ねる例は見受けられます。


遺言執行についてのその他のQ&A