持戻しの免除とはなんですか

1 持戻し免除とは

共同相続人の中に特別受益を受けた者があった場合には、相続財産にその特別受益の金額を加えたものを、相続財産とみなし、これを基礎に相続人の相続分を算定しますが、これを持戻しと呼んでいます。
しかし、被相続人が、この持戻しをしなくてもよいという意思を表示していた場合には、持戻しをしなくてもよいのです。これを持戻し免除の意思表示といいます。

具体的には、以下のとおり結論が異なります。
・相続人は子A、子B
・相続財産は、2000万円
・子Aのみが生前贈与として1000万円を得ていた。

持戻し免除の意思表示がない場合、
子Aは生前贈与1000万円と相続財産500万円の計1500万円
子Bは相続財産1500万円
を取得することになります。

持戻し免除の意思表示がある場合、
子Aは生前贈与1000万円と相続財産1000万円の2000万円
子Bは相続財産1000万円
を取得することになります。

2 持戻し免除の意思表示の方式

生前贈与についての持戻し免除の意思表示には、特別の方式は必要ありません。
一方、遺贈についての持戻し免除の意思表示については、遺言によってされなければならないという考え方と、遺言によることを必要としないという考え方があります。

遺言による特別受益不動産の取得について、被相続人の黙示の持戻免除の意思表示を認めなかった事案として、大阪高裁平成25年7月26日決定があります。

生前贈与において、持ち戻し免除の意思表示が明示的になされることは少なく、多いのは、黙示の意思表示があったかどうかが争われる場合です。

3 黙示の意思表示

黙示の意思表示があったかどうかについては、贈与の内容・価額、贈与の動機、被相続人と受贈者との関係、被相続人と相続人の経済状態、他の相続人との関係や、他の相続人が受けた贈与の内容・価額等を総合考慮して判断するものと考えられています。

以下のような場合には、持戻し免除について、黙示の意思表示があったと認められやすいと言えます。
・特定の相続人により多くの遺産を取得させようという意図で生前贈与がなされた場合
・各相続人に同程度の生前贈与を行っている場合
・自立して生活することが困難な者に対して、将来の扶養を目的として生前贈与を行っている場合
・生前贈与した代わりに被相続人が何らかの利益を得ている場合

4 持戻し免除の意思表示の撤回

一度持戻し免除の意思表示を行った場合でも、被相続人はそれを自由に撤回することができると考えられています。

5 持戻し免除の意思表示と遺留分

持戻し免除の意思表示がなされたとしても、遺留分算定にあたっては、遺留分算定の基礎となる財産額に算入され、また、遺留分減殺の対象になると考えられています(最一小決平成24年1月26日)


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