被補助人とはなんですか

1 被補助人とは

被補助人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者で、家庭裁判所より補助開始の審判を受けたものをいいます(民法15条、16条)。
「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者」とは、不動産の売買その他重要な法律行為について、一人で行うことは不可能ではないが、適切に行えない可能性があるため、他人の援助を受けたほうがよい程度の判断能力を有する者と考えられています。
被補助人には、家庭裁判所により補助人が付されます(民法16条、876条の17第1項)。
なお、補助開始の審判をするには、本人の同意が必要とされているため(民法15条2項)、本人の同意が得られない場合、いくら周りの者が補助を開始することを勧めても、補助開始にはなりません。これは、成年後見保佐とは異なる点です。

成年後見制度のうち、法定後見制度には、後見、補佐、補助の3つの類型がありますが、保佐は3番目に本人の判断能力が低い場合の類型になります。

成年後見と同様、あくまで「精神上の障害」が要件ですので、身体障害等、精神上の障害以外の理由で法律行為ができない場合には認められません。

被補助人となった場合には、成年後見や保佐とは異なり、医師や税理士等の資格喪失や、株式会社の取締役の地位の喪失はありません。

2 被補助人の行為制限

被補助人には、画一的な行為制限はありません。
そこで、補助開始の審判を申し立てる際には、別途、同意を要する行為を定める審判か、代理権を付与する審判も申し立てる必要があり(民法15条3項)、これらによって、具体的な行為制限がなされることになります。

(1)同意権

被補助人について、一定の法律行為を行おうとする場合に、補助人の同意を得ることができます(民法16条1項)。
そして、補助人の同意を得ない場合には、補助人または被補助人が取消すことができます(民法16条4項)。

ここで、一定の行為とは、以下のいずれかの行為の中から、家庭裁判所において、同意を要する行為として定められたものです。以下の行為は、被保佐人が保佐人の同意を要する行為と同一です(民法13条1項各号に掲げる行為)。
被保佐人の場合には、保佐開始の審判がなされると、以下のすべての行為について、同意が必要となりますが、被補助人の場合には、以下の行為のなかから、家庭裁判所において定められた行為のみが同意を要する行為となります。
また、補助人の同意を得なければならない行為を定めるにあたっては、本人の同意を得る必要があります(民法17条2項)。

①元本を領収し、又は利用すること。
②借財又は保証をすること。
③不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
④訴訟行為をすること。
⑤贈与、和解又は仲裁合意をすること。
⑥相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
⑦贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
⑧新築、改築、増築又は大修繕をすること。
⑨長期の賃貸借をすること。

(2)代理権

補助人の場合も、保佐人と同様、当然に制限能力者の法律行為に対する代理権が付与されるわけではありません。
しかしながら、補助人に代理権を与えたほうが良い場合には、申立てにより、家庭裁判所が、被補助人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与します(民法876条の9)。
なお、ここでの「特定の法律行為」は、同意権とは異なり、民法13条1項各号に掲げる行為には限られません。
また、代理権を付与するためには、本人の同意が必要です(民法876条の9第2項)。


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