被保佐人とはなんですか

1 被保佐人とは

被保佐人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者で、家庭裁判所より保佐開始の審判を受けたものをいいます(民法11条、12条)。
「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者」とは、日常的な買い物程度であれば一人で可能であるものの、不動産の売買その他重要な法律行為については一人ですることに不安があり、常に他人の援助を受ける必要がある程度の判断能力を有する者と考えられています。
被保佐人には、家庭裁判所により保佐人が付されます(民法12条、876条の2第1項)。

成年後見制度のうち、法定後見制度には、後見、保佐、補助の3つの類型がありますが、保佐は2番目に本人の判断能力が低い場合の類型になります。

成年後見と同様、あくまで「精神上の障害」が要件ですので、身体障害等、精神上の障害以外の理由で法律行為ができない場合には認められません。

被保佐人となった場合、医師や税理士等の資格を喪失するとともに、株式会社の取締役の地位も喪失します。

2 被保佐人の行為制限

(1)取消権

被保佐人が以下の法律行為を行おうとする場合には、保佐人の同意が必要となります(民法13条1項)。
保佐人の同意がない場合、保佐人及び被保佐人は当該行為を取消すことができます(民法13条4項)。

①元本を領収し、又は利用すること。
 預貯金の払い戻しや、貸金の弁済を受領することも含まれると考えられています。
 また、利息を付して金銭を貸し付けたりすることもこれに該当します。
②借財又は保証をすること。
 金銭を借り受けたり、第三者の借り受けについて保証人になることです。
③不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
 不動産の売買が典型例ですが、抵当権の設定や賃貸借の合意解除などもこれに含まれます。
 また、不動産のみならず、高価な保険、有価証券等もこれに含まれますし、こういった資産以外にも、例えば、介護契約や施設入所契約といったものもこれに含まれると考えられえています。
④訴訟行為をすること。
⑤贈与、和解又は仲裁合意をすること。
 贈与をすることは対象となりますが、贈与を受けることは対象になりません。
⑥相続の承認若しくは相続放棄又は遺産の分割をすること。
⑦贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
⑧新築、改築、増築又は大修繕をすること。
⑨長期の賃貸借をすること。
土地の賃貸借については5年以上、建物の賃貸借については3年以上のものをいいます。

また、上記以外の行為についても、保佐人の同意を得たほうがよい行為がある場合には、申立により、家庭裁判所が保佐人の同意を得なければならない行為を拡張します(民法13条2項)。
ただし、日用生活に関する行為について、保佐人の同意を必要とすることはできません。

(2)代理権

保佐人の場合には、成年後見人とは異なり、当然に被保佐人の法律行為に対する代理権が付与されるわけではありません。
しかしながら、保佐人に代理権を与えたほうが良い場合には、申立てにより、家庭裁判所が、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与します(民法876条の4)。
ただし、代理権を付与するためには、本人の同意が必要です(民法876条の4第2項)。

なお、どのような行為について代理権を付与したらよいかを考える際には、裁判所において、代理行為の類型を整理した目録を用意していますので、これを確認するのがよいでしょう。


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