成年被後見人とはなんですか

1 成年被後見人とは

成年被後見人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者で、家庭裁判所より後見開始の審判を受けたものをいいます(民法7条、8条)。
「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある」とは、精神的障害により、法律行為の結果が自己にとって有利か不利かを判断することができない程度の判断能力であることが、普段の状態であることをいいます(たまに判断能力が回復することがあってもかまいません)。
成年被後見人には、家庭裁判所により成年後見人が付されます(民法8条、843条1項)。

成年後見制度のうち、法定後見制度には、後見、保佐補助の3つの類型がありますが、成年後見は最も本人の判断能力の低下が著しい場合の類型になります。

また、成年後見制度を利用できるのは、あくまで、「精神的障害により判断能力を欠いた」場合に限られます。
身体障害などで、法律行為を行うことが難しいなどという場合には、成年後見制度を利用することはできず、このような場合には、別の福祉サービスの利用を受けることが考えられるでしょう。
したがって、成年後見が利用されることが多いのは、高齢で認知症が進み、精神的障害が生じているときなどです。

成年被後見人となった場合、印鑑登録を受けることができなくなります。
また、公務員の就業資格、医師や弁護士といった資格を喪失し、株式会社の取締役になれないなどの資格の制限も受けます。
なお、以前は成年被後見人は選挙権・被選挙権を喪失する旨公職選挙法に規定されていましたが、現在では改正され、選挙権は認められています。

2 成年被後見人の行為制限

成年後見開始の審判がなされると、成年被後見人の行為は、成年後見人により取消が可能となり、また、成年後見人には包括的な代理権が付与されるという形で、成年被後見人には行為の制限が課せられます。
詳しくは、「成年後見人にはどのような権限がありますか」をご覧ください。

3 成年被後見人と意思能力

本人の精神能力により法律行為が無効になる制度として、民法上、成年後見制度のほかに、意思能力がない場合があります。
両者は似た制度ですが、意思能力の有無は個別の法律行為での判断になるのに対し、成年被後見人の場合、画一的に処理されるという違いがあります。

したがって、仮に、成年被後見人が法律行為の時点で精神能力があったとしても、その行為は取消可能ということになります。


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