成年後見人はどのように選任されますか

1 後見開始の申立て

成年後見人を選任しようとする場合には、家庭裁判所に対し後見開始の審判の申立てを行う必要があります。

後見開始の審判を申し立てることができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官です(民法7条)。
ただし、実際に申し立てる際には、後述のとおり、本人の診断書や本人の財産に関する資料の提出が求められますので、同居の親族等、本人の事情をよくわかっている者が申し立てることになるでしょう。

申立て先の裁判所は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所です(家事事件手続法117条1項)。
基本的には、住民票上の住所を基準とすることになります。一時的な介護などで親族宅にいる場合などでも、申立先は本人の住民票上の住所を管轄する家庭裁判所になります。

なお、一度申立てを行うと、取下げを行うには、家庭裁判所の許可が必要になります。

2 必要書類

申立てに際しては、以下の書類が必要となります。
①親族関係図
②申立書(家庭裁判所の書式があります)
③本人の診断書(家庭裁判所の書式があります)
④本人の戸籍謄本
⑤本人の住民票
⑥本人の登記されていないことの証明書
⑦後見人候補者の戸籍謄本
⑧後見人候補者の住民票
⑨申立事情説明書(家庭裁判所の書式があります)
⑩親族の同意書(家庭裁判所の書式があります)
⑪後見人等候補者事情説明書(家庭裁判所の書式があります)
⑫本人の財産目録(家庭裁判所の書式があります)
⑬本人の収支状況報告書(家庭裁判所の書式があります)
⑭本人の財産及び収支に関する資料
⑮収入印紙
⑯郵便切手

以上のうちでもっとも重要なのは、診断書でしょう。
診断書については、必ずしも精神科医でなくても問題はなく、主治医の診断書が通常です。
ただし、主治医から診断書を取得する際には、事前に裁判所の診断書書式を持参のうえ、これに基づいて作成してもらう必要があります。

3 申立後の手続き

(1)申立人や成年後見人候補者との面接

申立てを行うと、申立人と成年後見人候補者は、裁判所において面接を行います。
なお、東京家庭裁判所後見センターでは、申し立てる際に、面接日の予約をすることとなっています。

(2)本人との面接

本人の判断能力の低下が明らかであり、親族間においても本人の判断能力に争いがない場合には、本人との面接が行われないケースが多いといえますが、
本人や親族が後見開始に反対している場合などには、本人との面接が行われることもあります。

(3)親族への照会

申立てにあたり、「親族の同意書」を提出しない場合、家庭裁判所から、本人の親族に対して照会をすることもあります。
照会は主に、書面によって行われ、親族に対して、本人が後見開始することに関する意見、成年後見人候補者に関する意見などの回答を求めます。
回答結果によって、鑑定がなされたり、専門職後見人や後見監督人が選任されることもありえます。

(4)鑑定

診断書や申立人と成年後見人候補者との面接において、明らかに意思能力がない常況にあることが認められる場合には、鑑定は行われませんが、他の親族と意見が異なる場合などには、鑑定が行われる場合もあります。
鑑定は、主に主治医が行います。
鑑定を行う場合には、鑑定費用を家庭裁判所に予納する必要があります。費用としては、10万円以下のケースが多いようです。

3 審判

調査終了後、後見開始の審判がなされ、成年後見人が選任されます。
特に問題のないケースであれば、申立てから審判まで、1、2ヶ月程度です。
審判がなされると、申立人等に告知されるほか、本人に対しても通知されます(家事事件手続法74条1項、122条1項)。

4 後見開始の登記

審判がなされると、後見開始・後見人選任の登記がなされます(家事事件手続法116条)。
ただし、この後見登記については、プライバシー保護の観点から、本人、その配偶者、四親等内の親族、成年後見人等にのみ限定されており、取引の相手方等が確認することはできません。
また、本人等は、後見開始の審判がなされていないことの証明を取得することもできます。


成年後見についてのその他のQ&A