成年後見人はどのように財産管理を行う必要がありますか

1 財産管理の職務

成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行う必要があります(民法858条)。
そして、これら事務を行うにあたっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければなりません(民法858条)。

2 財産の把握・引継

後見人に選任された場合、速やかに被後見人の財産の調査に着手し、原則として1か月以内に財産目録を作成して家庭裁判所に提出する必要があります(民法853条)。
後見監督人が選任されている場合には、財産調査及び財産目録作成は後見監督人の立会いの下に行う必要があります(民法853条2項)。

また、後見人は、その就職の初めにおいて、被後見人の生活、教育又は療養看護及び財産の管理のために毎年支出すべき金額を予定しなければならないとされているため(民法861条)、家庭裁判所に対して、財産目録とともに、収支予定表を提出する必要があります。

財産管理をそれまで後見人以外の者が行っていた場合には、通帳や不動産の関係書類を譲り受けるなど、財産の引継ぎを行う必要があります。
また、金融機関に対しても、後見開始がなされた旨を届け出る必要があります。

3 財産管理と報告

その後は、本人の財産状況を把握し、安全に管理するとともに、原則として1年に1回、家庭裁判所に後見事務報告書、財産目録、収支状況報告書を作成して提出する必要があります。

収入については、日常的なものとしては、年金収入や不動産等からの家賃収入が考えられます。
年金収入については、受給のための手続きを行うとともに、入金を確認することが必要になります。
賃料収入については、賃借人からの賃料の受領を行うことが必要になりますが、事務処理が多い物件などの場合には、不動産管理業者に委託することもありえます。

支出については、日常的なものとしては、生活費や医療費が考えられます。
生活費については、必要な場合には、本人のみならず、配偶者や未成年の子に対して支出することもできます。
収入及び支出については、現金出納帳を作成するとともに、領収書を保管しておくことが必要になります。

4 問題になりやすい行為

(1)親族への貸付

親族への貸付は、被後見人の財産を減少させるおそれがあることから、原則として認められないと考えられています。

(2)親族への贈与

親族への贈与も、被後見人の財産を減少させることから、原則として認められないと考えられています。
ただ、入学祝や結婚祝い等については、被後見人との関係からして与えるのが当然であり、また、その額も常識の範囲内であれば、認められる可能性はあります。

(3)親族に対する扶養

被後見人に配偶者がいたり、未成熟子がいる場合に、扶養として生活費を拠出することは可能です。
一方、家計が別であるのに、生活費等を拠出することは、要扶養状態であるなどの事情がない限り、認められないと考えられています。

(4)使い込み

後見人の財産を使い込むことはもちろん許されません。
仮にこのような行為が行われた場合、後見人を解任されるとともに、新たに選任される専門職後見人により損害賠償を請求される可能性もあります。


成年後見についてのその他のQ&A