成年後見人が不動産を処分する際に注意すべきことはなんですか

1 成年後見人による不動産処分

成年後見人には、包括的な代理権が付与されているため、成年被後見人の不動産を処分することも可能です。
ここで処分とは、売買することの他、賃貸、担保権設定なども含まれます。
ただし、居住用不動産と非居住用不動産とに分けて考える必要があります。

2 非居住用不動産の処分

非居住用不動産については、後見人の判断でこれを処分することができます。
ただし、後見監督人が選任されているときは、後見監督人の同意を得る必要があります(民法864条)。

処分にあたり注意すべきは、処分に、必要性かつ相当性が認められるどうかです。
不必要であったり不相当であったりする場合には、後見人の身上配慮義務に反する可能性もあります。

必要性とは、被後見人にとって処分が必要であることをいいます。
被後見人の生活費や医療費を捻出するための売却であれば必要性があるといえますが、親族等を援助する目的で不動産を処分することは基本的には必要性がないと考えられています。
したがって、親族に不動産を無償利用させるなどということは、できなくなる可能性があるので注意が必要です。

相当性とは、処分が被後見人にとって不利でないことをいいます。
したがって、売却する場合の価格や賃貸する場合の賃料なども、一般の取引慣行に照らして相当である必要があります。

3 居住用不動産の処分

居住用不動産の処分については、家庭裁判所の許可が必要となります(民法859条の3)。
この場合にも、後見監督人が選任されているときは、後見監督人の同意を得る必要があります(民法864条)。

ここで、居住用不動産とは、被後見人が、生活の本拠として現に居住の用に供している、または居住の用に供する予定がある建物及び敷地をいいます。
仮に被後見人が現在は入院中であるとしても、退院後に帰る予定の建物はこれに含まれます。

家庭裁判所の許可が必要な処分行為としては、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定の他、贈与や建物の取り壊しなどが含まれると考えられています。

家庭裁判所の許可を得るためには、後見人が後見開始の審判をした家庭裁判所に申立てを行う必要があります。
申立てを行うにあたっては、不動産の全部事項証明書や固定資産評価証明書の他、契約書案の写しや、査定書等を提出する必要があります。

家庭裁判所の許可を得ない処分は無効になりますので、処分の前に家庭裁判所の許可を得る必要がありますし、処分先には事前にその旨を伝えておくとよいでしょう。

最近では、後見人の生活費を確保するために、リバースモーゲージという手法をとる例もみられるようになっています。
詳しくは、「成年被後見人がリバースモーゲージを利用することはできますか」をご覧ください。

4 不動産の管理

不動産の管理については、処分ではないことから、特段家庭裁判所の許可や、後見監督人の同意は不要です。
所有する不動産についての固定資産税の支払や管理費・共益費の支払、また、借家の賃料の支払、建物の修繕に関する請負契約の締結、賃料の回収などが不動産の管理行為に該当します。


成年後見についてのその他のQ&A