遺産分割調停を電話で対応することはできますか

1 裁判所への出席が難しいケース

遺産分割調停は、相手方の住所地が土地管轄になるため(家事事件手続法245条1項)、いずれかの相手方の住所地を管轄とする家庭裁判所に申し立てられることが通常です。
土地管轄がこのように定められるため、申立人や他の相手方の住所地が、申し立てられた裁判所と遠隔であることがあります。
特に、相続人が多数である場合には、このようなケースが多いでしょう。
このような場合、遠隔地にいる当事者が毎回裁判所に出頭することは、負担が大きいことがあります。

2 電話会議システムとテレビ会議システム

このような当事者でも調停への参加がしやすいように、家事事件手続法では、家庭裁判所が、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、遺産分割調停期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができるとされています(家事事件手続法258条1項・54条1項)。
音声の送受信により同時に通話をすることができる方法とは、電話会議システムとテレビ会議システムの利用ですが、通常は電話会議システムが用いられます。

3 電話会議システムの利用

電話会議システムの利用については、弁護士が代理人となっている場合には、通常は問題なく利用できます。
この場合、裁判所から代理人事務所に電話連絡がなされるのが通常ですので、本人も代理人事務所において、代理人とともに、電話によって調停手続を行うことが可能です。

一方、本人で対応する場合には、本人確認や非公開性の担保のため、電話会議システムを利用できるかどうか、裁判所に問い合わせることが必要です。

4 調停における電話会議システムの特色

遺産分割調停手続では、当事者の一方のみならず、当事者双方が出頭しなくとも電話会議システム等を利用して、遺産分割調停期日における手続を行うことができる点に特色があります。
一般の訴訟手続でも、弁論準備手続期日において、電話会議システム等の利用がなされていますが、当事者の一方が裁判所に出頭した場合に限られる点と異なります(民事訴訟法170条3項)。
これは、遺産分割調停を含む家事調停手続では、簡易迅速な処理が要請されることから認められると考えられています。

また、遺産分割調停の成立も電話会議システム等で行うことができ、当事者の一方又は双方が期日に出席していなくても、調停を成立させることができます。
この点も、一般の訴訟手続きで和解を行う場合には、和解条項案の書面による受諾の場合(民事訴訟法264条)と裁判所等が定める和解条項の告知による場合(民事訴訟法265条)を除き、当事者双方の出席が原則として必要とされているのと異なります。


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