失踪宣告とはなんですか

1 失踪宣告とは

失踪宣告とは、不在者の生死不明が一定期間続いた場合に、不在者の死亡を擬制する制度です(民法30条)。
不在者の生死不明の状態が長時間続くと、法律関係を確定することができず、関係者が困ることが生じることがあるため、このような場合に、死亡扱いをすることで、法律関係を安定させるための制度です。

2 普通失踪と特別失踪

失踪宣告には普通失踪と特別失踪の2種類があります。
いずれも、不在者の生死が不明であることが要件とされています。

そのほかに、普通失踪では、不在者の生死が7年間明らかでないことが要件となります(民法30条1項)。
一方、特別失踪では、戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないときということが要件になります(民法30条2項)。

3 失踪宣告の申立

失踪宣告は、利害関係人の申し立てにより、家庭裁判所の審判によって行われます。
失踪宣告を申し立てることができる利害関係人とは、法律上の利害関係を有する者とされ、不在者の配偶者や推定相続人、受遺者、不在者財産管理人等がこれにあたると考えられています。

失踪宣告事件の管轄は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所にあります(家事事件手続法148条1項)。

申立てを行う際には、申立書の他、以下のような書類等が必要になります。
①収入印紙
②郵便切手
③不在者の戸籍謄本
④不在者の戸籍附票
⑤失踪を証する書類
⑥申立人の利害関係を証する書類

4 審判手続

申立てを家庭裁判所では、不在者の運転免許更新の有無や在監の有無の確認などを行います。
そのために、運転免許センターや法務省等に照会を行います。

また、家庭裁判所は、失踪宣告の申立があり、不在者が一定期間(普通失踪の場合には3か月以上、特別失踪の場合には1か月以上)までに、届出をすべきことなどを記載して、公告を行います。

これら調査を行っても、不在者の生存が確認できないときには、失踪宣告がなされます。

失踪宣告がなされた場合には、申立人は、審判確定の日から10日以内に、失踪宣告書の謄本と確定申告書を添付して、市町村に失踪届を行う必要があります。
これにより、失踪者の戸籍に失踪宣告したことが記載されます。

5 失踪宣告の効果

失踪宣告があると、不在者は死亡したものとみなされますので、失踪者について相続が開始することになります。
死亡したものとみなされる時期は、普通失踪においては7年間の期間が満了したとき、特別失踪においては危難の去ったときになります(民法31条)。
死亡したものとみなされる時期がいつかによって、相続人の順位が変わってくることがあるので、注意が必要です。

6 失踪宣告と遺産分割
上記のとおり、失踪宣告では、死亡とみなされる時期が、失踪宣告を受けるより前の時期になります。
そこで、死亡とみなされる時期より後に、不在者の関係する遺産分割(たとえば、不在者の配偶者の死亡による遺産分割)が行われ、その後に失踪宣告がなされるということがあり得ます。
この場合、不在者を除いて行った遺産分割が有効かどうかが問題になりますが、当該遺産分割協議は有効と考えられています。


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